オリンパス17mmf1.2PROレビュー

 

どもども。

ヘボ(アマ)グラファーの、もんぶらんです。

 

さて、前々回のフォトパスナイト編でも書いた通り…、

特に買うつもりもなかったのに、f1.2単焦点レンズ、しかも、その中でも、個人的に最も苦手な画角である35mm判換算35mm(細かく言うと34mm)相当の17mmf1.2を買ってしまった私。(←バカ)
モンプチという、ちびっこがいる関係で、年が明けて以降、まだ本格的に撮影に出れてないので、レビューを書くべきかどうか迷ったわけですけど、手に入れてから間もなく二月が経ちますし、「写真生活」というタイトルのブログであるにも関わらず、ここのところ、ほとんど機材系の記事を書いていないので、とりあえず、ファーストインプレッションとして、17mmf1.2のレビューを書いてみたいと思います。
購入を検討している方の参考になれば、うれしいです。

 

 

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17mmf1.2ってどんなレンズ?

わざわざ検索して、こんな過疎ブログの記事にたどり着いたであろう皆様方には、
ー説明不要かなぁ~?ー
とも思いますが、一応説明しておくと、17mmf1.2PROは、オリンパス渾身の単焦点レンズf1.2シリーズの(現在のところ)トリを飾るレンズとして2018年1月に発売されました。
前々回の記事に出てきたオリンパスのCさん曰く、f1.2シリーズは、
「各メーカの銘玉と呼ばれるレンズを片っ端から買い漁って、そのボケや解像度を計測し、その結果導き出された、『最も心地よいボケ』を数値化。そして、その数値化されたものを実際に再現すべく、多数のレンズを組み合わせて作り上げられたレンズ」
とのことで、ある意味
「バカなことやってるなぁ~。」
(↑、俺がいったわけじゃないよ。)
と思うくらい、贅沢な設計のレンズなんだそうです。
実際、この17mmf1.2も、11群15枚ものレンズを駆使して組み上げられているわけで、マイクロフォーサーズのレンズとしては、恐ろしいくらい値段が高いって~のも無理からぬ話。
しかも、これだけ多くのレンズを使用しているにもかかわらず、挙句、f1.2という、異様とも言える明るさであるにもかかわらず、AFが可能(しかも、相当速い!)なわけですから、まさに
「現代単焦点レンズの一つの到達点」
と呼んでも過言ではない一本に仕上がっているというわけです。
とは言え…、
冷静に考えれば、ボケ量はフルサイズのf2.4相当でしかない(らしい)し、値段も、価格コムの最安値でも10万円近く(2月以降の値上げが予告されてますので今後、更に高くなる)と、フルサイズの高級単焦点に匹敵する価格設定になっており、スペックはともかく、実際使用する上で、価格と性能がバランスできているかどうかが、甚だ疑問な一本でもあります。
そんなわけで、私の腕前では、レビューするのは、些か荷が重いレンズではあるわけですけど、以下では、忌憚のない実際の使用感などを書いていきたいと思います。

 

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デザイン

17mmf1.2のデザインはPROレンズの一本として、漆黒の金属外装、指にかかる凹凸の刻まれたピントリング、レンズ基部のシルバーのライン、L-Fnボタンの実装など、統一された意匠が用いられています。
私の手元にあるPROレンズと違うのは、ズームリングがなく、ピントリングが銅鏡のほとんどを覆っていることですが、これは単焦点なので当たり前のことです。
後は、フードのロック部が、新設計され、かなり目立たなくなっています。
(↑、このお陰で最初にフードを装着した時に、外せなくて焦った。)
個人的に、レンズにデザイン性を求めていないのですが、やはりオリンパスPROレンズのマッシブなデザインは、手にして気分がアガる格好良さだと思いますし、このレンズにもそのDNAは脈々と受け継がれていると思います。

 

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大きさ、重さ

サイズ感は、既に色々なところで言われている通り、12-40mmf2.8PROとそっくりです。
12-40f2.8が、長さ84mm、382gであるのに対して、17mmf1.2は長さ87mm、重さ390gとほぼ一致しています。
なので、12-40mmf2.8を持っている人ならば、サイズ感は自ずとお分かりになるのではないでしょうか?

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12-40mmと17mm、フードを外したサイズ感はほぼ同じ。だけど、フードを装着すると、なんと!17mmの方が結構デカくなる。f2.8通しズームよりもデカい単焦点って考えると、規格外のデカさと言えるよねぇ。

個人的には、このくらいの大きさがあった方が、レンズの保持がし易いと感じますし、重さもバックに収納している時や持ち方によっては、
ー結構重いなぁ~。ー
と思う場面がないわけでない(特に片手持ちしている時)ですが、EM1MKⅡに限って言えば、優秀なエルゴノミクスのお陰で、撮影体勢でいる時には、このレンズを重いと感じることはありません。
とは言え…、
超小型軽量のものが多いマイクロフォーサーズ単焦点レンズとしては、「異形の巨大さ」と言っても過言ではないサイズ感であることも確かなので、大多数のマイクロフォーサーズ機では、カメラのグリップが浅いことも手伝って、重量による負担をずっしり感じるんじゃないでしょうか。
まあ、重さの比較をしてしまうと、上にも書いた通り、f2.8通しの大三元ズームレンズよりも若干重い、というレベルですからね。
先日購入したシグマ24-70mmf2.8ですら、900g弱の重量があることを考えれば、フルサイズ用であれば本来、900gの単焦点、同じシグマで言えば、50mmf1.4ARTレンズ並みのサイズ感が必要なところ、この程度の大きさで収まっているのだから、その意味では、さすがマイクロフォーサーズといった感はあります。

 

 

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操作性

単焦点レンズなので、操作できる部分はそれ程多くはありません。
ピントリング、L-Fnボタン、フード、くらいのものでしょうか。
L-Fnボタンは、PROレンズ伝統の機能になっていますが、このレンズにおいても任意の機能を割り当てて、機能ボタンとして使用できます。
押し心地は少しグニャグニャした感じですが、設置場所が適切なので、使い勝手は良好です。
ちなみに、デフォルトでは「AF停止」が割り当てられています。
また、ピントリングの感触も非常によく、回転角、回し心地、共に素晴らしい出来になっています。
咄嗟のマニュアル操作も、気分良く行えること請け合いです。
そうそう、マニュアル操作と言えば、またまたPROレンズ伝統の機能である、マニュアルクラッチフォーカスへの切り替えも、リングを引けば簡単に切り替わるし、その手応えも強すぎず弱すぎずで、いい感じです。
但し…、
ピントリングが銅鏡全体を覆っている形になっているので、レンズの装着時に、レンズをマウントに押し込むと、マニュアルクラッチフォーカスも動作してしまうことが多くて、結構、気になりました。
クラッチが動作した状態のレンズは、当然、クラッチを戻さないとAFできませんから、咄嗟の時に困りそうですし、レンズをマウントする時には、クラッチ操作以上の力が入りますから、長いこと使っている内には、可能性は低いかもしれませんが、これが原因で破損するかもしれません。
ピントリングを後1cm程短くして、レンズ交換の時に指をおける基部を作ってくれていれば、こんな心配しなくていいのになぁ~~とは思いましたね。
フードに関しては特筆すべきことはありません。
逆付け可能なロック付きフードとしては、極めて平均的ながら、機能的に過不足のない出来と言ってよいと思います。
ただ、ロックがついているにもかかわらず、たまに、ちょっと触っただけで脱落することがあるのは、なぜなんでしょうか?


描写

これに関しては、まだ自分の中で結論が出ていないのですが、感じたことだけ…。

まず、色乗りですが、ニュートラルから若干白っぽい、という感じを受けます。
最初、子供を撮った時には、やたら白く映るので困りましたが、普通の被写体を撮っている分には、比較的ナチュラルな色乗りとなります。

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白っぽい描写というのは、こんな感じ。現像設定がニュートラルだからかもしれないけど、コントラストが薄めで白っぽい描写になる。ただ、これはこれで水や無機物との相性はよいように思える。

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当たり前ではあるけど、上の写真が眠たいということなら、現像ソフトで彩度とコントラストの調整は可能だ。

おそらくですが、多くのレンズを組み合わせて作っている関係上、逆光耐性が低いのかもしれません。
なので、子供など、主に逆光で撮る場合には、殊更、コントラストが低く出る傾向があり、そのせいで、私は「白い」と思うのかもしれませんねぇ。
夜も、フードなしで撮影していると、信号や街灯の明かりが、ゴーストとなって、全然関係ない部分に出ちゃっていましたし。
少なくとも、フードは必ずつけて撮影した方がよさそうです。
描写の傾向としては寒色系で、金属や水といった被写体との相性が良いように思います。

解像感は、PROレンズとしては可もなく不可もなく、と言ったところですね。
単焦点なので大変シャープですが、ズームレンズのPROレンズも十分にシャープなので、格別、このレンズだけが優れているという感じはありません。

そして、問題のボケなわけですが…、

 


これがまた評価が難しい。

``s(・。・;) エートォ...

 

確かに、ボケ量だけで言えば、フルサイズのf2.8とあまり変わりませんから、高いレンズの割には大したことない、となるわけですが、オリンパス「売り」として喧伝しているボケ質は確かに、他のレンズとは少し違う感じがします。
中でも、先にも書いたように、微妙に白っぽくなる色乗りの悪さが影響しているのか、撮って出しだと眠たい雰囲気の写真になりがちなのですが、ほんの少し、レタッチでコントラストを調整してやると、驚くべき立体感を表現できることは、特筆すべきことだと思います。

 

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左がJPG撮って出し。右が調整後。現像設定ニュートラルのせいもあるのか、左は随分と薄味だけど、右の調整後はしっかりとした立体感が出てると思うのですが、いかがでしょうか?


よくプロの方は「つながりのよいボケ」という表現を使いますが、このボケ質のお陰でしょうか、これまでのレンズとは一味も二味も違う立体感を、自然に表現できている気がします。

 

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モンプチ君登場!なんと言っても、このレンズの真価はポートレイト撮影で発揮されると思うので、そういう写真も無理くり一枚。ピントの合ってる目を隠しちゃってますけど、ボケ質の良さは伝わりますかねぇ?


色乗りの時にも感じたことですが、ボケの質も、ニュートラルでナチュラルなんでしょうね。
そのせいか、Eマウントのシグマの24-70mmf2.8と同じ場所で撮って比べてみても、絵自体がとても穏やかで上品です。

 

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サイズが小さいので、わかるかどうかはわからないけど、女性の背中からのボケ方が絶品。私のような半端者でもそれとわかる、ちょっと見たことがない、穏やかで心地良いボケ味だ。



シグマの新レンズが割とこってりとした色乗りで、油絵っぽい印象だとするなら、こちらは上質な水彩画のようなイメージでしょうか。
オリンパスのレンズといえば、
「開放からパッキパキ!」
というイメージですけど、このレンズに限っていえば、攻撃的な部分が全くなく、とても柔らかい、それでいてキチンと芯のある描写が持ち味だと感じます。
この特性は、このレンズを、素性のよいデータをキャプチャしてくれる、通好みのレンズであると規定する反面、パッと見で明らかにわかる特徴を持ち合わせているわけでもなく、JPG撮って出しでは、大人しい絵になる傾向も含めて…、

 

 

わかる人でないと良さがわからないレンズ

 

にしてしまっている面があると思います。
描写の傾向や使い所を十分に理解した上で購入すれば、これ程素晴らしいレンズもなかなかないのでしょうが、ただ単に、
「値段が高いからいいレンズなんだろう。」
「プロが絶賛しているからいいレンズなんだろう。」
「f1.2の明るさとボケを使ってみたい。」
くらいの理由で購入すると、「値段の割に全然大したことない」と感じてしまうのではないかと思います。

 

作例

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まずは富士山を遥かに望んで遠景での撮り比べ。f1.2とf8です。正直、そんなに違いがないと思う段階で、解放でも抜群の解像度だということがわかりますねぇ。

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最短撮影距離は20cm、最大撮影倍率は35mm判換算で0.3倍。マイクロフォーサーズあるあるで、フルサイズ比でのボケ量は少ないが、寄れるマイクロフォーサーズのレンズは、寄ることでボケ量を増やすことができる。このレンズも広角レンズにしては寄れるので、近くに寄れる被写体なら、フルサイズに負けないボケ表現も可能だ。

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f1.2という常識外れなf値のお陰で、マイクロフォーサーズとは思えないクリアーな夜景撮影が可能。1/60秒でISOはなんと!640ですよ。若干白っぽいですけど、立体感も素晴らしいです。

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1/6400、f4 逆光体制は格別高いわけではないが、低いわけでもない。

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40-150だと背景のボケがうるさくなるんじゃないかと思う背景を敢えて選んで撮影。それでも奇麗に暈し込んでいるのが見事。16000/1、f1.2

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総評

まだまだこのレンズのキャラクターをキチンと把握できているとは言い難い私ですが、このレンズについては、以下の二つの言葉を、その特徴として想起しました。
一つは…、

「プロが最善を尽くすためのレンズ」

と、いうことです。
完璧に補正されている各種収差、雨でも風でもへっちゃらな強固な防塵防滴性、ほぼ無音で合焦する高速なAF、滑らかで誇張のないボケ質・画質・色乗り、一定の被写界深度を保ちつつローライトで絶大な威力を発揮するf1.2というf値。
いずれも、プロと呼ばれる方々が結果を出さなければならない撮影で、厳しい条件でも確実に結果を残せるよう、撮影をアシストしてくれる頼もしい特徴となっています。
特に、誇張のないボケ感や、徹底的に補正されている収差については、動画クリエイターからの評価も高いようで、色は自分で「当てたい」反面、収差が出ればそれは修正して納品しなければならない、プロの仕事においては、スチルのプロの間でも、とても評価が高いポイントになっていると思われます。
(私は、ヘボグラファーだし、仕事で撮っていないので、今までお話を聞いたプロの方から受けた印象で話をしてますけど…。)
もう一つは…、

「撮る側の『感性』が試されるレンズ」

だ、ということです。
この場合の「感性」とは、このレンズの真骨頂とも言うべき「滲むボケ」「つながりのよいボケ」を、それとわかる感性だけではなく、その特徴を作画に生かす感性のことも含めて言っています。
ボケの絶対量や多少のボケ質の違いならわかる人でも、ここで言う「感性」を持ち合わせているとは限らないでしょうし、そうであれば、このレンズはただの、高くて頑丈でAFの速いレンズ、としか思えないでしょう。
すなわち、このレンズの真価を知るためには、撮り手もある程度のレベルにいなければならないわけです。
で、
「お前はどうなんだ?!」
と言われれば、そりゃもちろん…、

 

 


よくわからないに決まってます!!!

o(`・ω´・)

(↑威張るな!)

 

 

「初級者以上、中級者未満。」の私の腕では、このレンズの描写は、
「穏やかで上品で、なぜか見ていて心地いい。」
コントラストを調整すると、立体感がメチャ際立つ。」
くらいの言葉でしか語れません。
その意味では、私には「過ぎたるレンズ」だと思います。
もちろん、機材が撮り手を進化させてくれることもあるでしょうから、これで撮り続けることに意味がないとは言いませんが、個人的には、
ー手に入れるのが少し早過ぎたかなぁ~。ー
というのが正直な思いです。

まっ、とりあえずは…、

2月上旬開催予定の、「フォトアーティストスペシャル」までは使い続けてみて、今後の付き合い方を決めようかと思っている次第。
こちらのレンズよりは12-200の方が個人的には使い出があると思っているので、もしも当日レンズのレンズが可能なようなら、使ってみた上で取捨選択を考えたいと思っているところです。

と、いうわけで…、

 

 

今のところの満足度は80点。

 

上にも書きましたが、このレンズがどうこういうよりも、私自身の写真の腕がこのレンズに追いつけていないのが、最大の問題だと思います。

 

 

それでは、アデューー。
ヾ(*^▽^*)oヾ(*^▽^*)oヾ(*^▽^*)o